WTO農業交渉

百笑

2009年02月27日 10:31

世界的な経済危機のあおりを受け、自由貿易の気運が高まりWTO交渉の重要性な時期になっています。
数年にわたるこの交渉の副産物として産まれた「農産物の最低輸入機会(ミニマム・アクセス:MA)」により、米余りの日本に約77万トンのMA米が外国から輸入されています。そして弊害も・・・
今回のスレットのきっかけは、こちら【アチャー!】


このWTO交渉(農業分野)は、農業保護交渉と見られがちですが、実は国家維持の為の重要な外交交渉であると言う事は、メディア等ではなかなか伝えられてません!
アメリカを中心とした穀物輸出国は、安価で世界に余剰穀物を排出し国内農家には価格保障をして農業保護を行っています。その額は、日本の農業補助金額とは比べものにならない額!
また、余剰穀物の典型的な消費方法として行われたのが、戦後のアメリカが敗戦国日本に刷り込んだパン食(小麦消費)普及ではないでしょうか。当時は、GHQが「米を食べるから戦争に負けたのだ、パンを食べれば頭が良くなる」とまで拡声器で宣伝して回ったとか・・・。
これらの事は、世界の穀物価格バランスを無視し、自国の農業だけはキッチリ守ると言う大穀物生産国の“エゴ”であると考えます。

もう一点、世界のバランスが変わりつつあるのが、インドや中国などの大消費国の生産性が向上した事。
これらの国が自国農業を守る為に“関税”と言う壁を作り、外国からの余剰農産物をシャットアウトすると、生産国は莫大な在庫を抱える事になります。

このような現状の中で、資源が乏しく金銭的に裕福な日本が“はけ口”として見られています。


だから農業を守って下さい!
ってのは、一般的な情報・・・

仮に、この交渉によって関税撤廃で安価である程度の水準を満たした農産物が大量に輸入されると、当然日本農業は破綻してしまいます。
問題は、その後です・・・国民の食卓は外国に守られる訳です。
アメリカの今までの行いを見てもそうですし、近年の中国では国策で農業の生産性向上を掲げ、肥料等の原材料の輸出禁止を自国の利益のみで平気で行います。そのような国が、大干ばつ等の自然災害で農業生産に大被害をもたらした時にも、世界の食料庫としての責任を果たし、自国の消費を削ってまで世界の穀物バランスを保とうとするでしょうか?
歴史上で国家間の争い(戦争)は、宗教か食料も含めた資源の取り合いがほとんど・・・戦争と言う選択肢が無い我が国は飢えて滅びるしかないのでしょうか?


豊かな国日本!
一度飢えてみなければ解らないと言う人もいますが、その時には国を支えるだけの農家は生き残っていないと考えます。
資源の無い日本で、国として存在していく最後の砦である食料を守る事、世論の理解が深まる事を心から望みます。
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